東西の大国のはざ間に位置するウルマス国には、地震や日照りなどの災害が続いた時や、病がはやった時などに、災いが治まることを願って、黒い衣装を着せた生けにえの少女を天の神々に差し出すという風習があった。
この国で暮らす14歳の少女アイは、ある日、鎖につながれている黒装束の人形ナフィーサと出会う。
まるで人間のような動きをするナフィーサに、たちまち、心ひかれるアイだったが、彼女には、想像もつかないような不思議で悲しい過去があった。
やがて、東西両軍の戦いがはじまり、ウルマス国も、その争いに巻き込まれていくことになる。
アイとナフィーサは、生き残るために、生けにえの儀式をおこなう場所「太陽の丘」への脱出を試みることになるのだが・・・。
「とうげの旗 第19号」に掲載されたものを、修正加筆した長編ファンタジー小説。