科学でナゾとき!やまんばの屋敷事件 偕成社

科学の力で、様々な謎を解いていくミステリー、待望の第二弾。

小学六年生の彰吾と、どこか浮世離れした父親のキリン先生が織りなす、おもしろくてためになる科学読み物が帰ってきた。

今回、彰吾たちが挑むのは、坂道を勝手にかけ上がっていく野球ボールの不思議を解き明かす「やまんばの屋敷事件」、小学一年生の女の子たちからもらった奇妙な手紙を解読していく「ないしょの手紙事件」、モデル事務所に入ったクラスメイトが配りはじめた怪しげな白い粉の真相に迫る「なぞの白い粉事件」の三つ。

どのミステリーも、しっかりとした科学の考察にもとづいており、大人が読んでも十分に楽しめる仕掛けが随所にしてある。

主人公である彰吾のナルシストぶりも健在で、脱力系のキリン先生と息の合った親子漫才を展開してくれる。

そんな楽しい作風の一方で、ニセ科学を利用して人をだますことの罪の重大さや、科学を学ぶ者のあるべき姿勢についても言及されているなど、人間と科学とのかかわりについて考えさせられる一書となっている。

特に「なぞの白い粉事件」においては、科学に無知であるがゆえに、本人の意思に反して人を不幸に巻きこんでしまうことの恐ろしさが描かれているが、これは、子供だけでなく大人にも共通する現代の闇を浮き彫りにしている。

ただ、そうした重いテーマを重く感じさせることなく、情感豊かに描き切っているところが、このシリーズの魅力。

ユーモアのセンスも抜群で、「ないしょの手紙事件」では、大いに笑わせられること請け合い。

「子どもたちが小さかったころ、各地の科学館や実験教室にいっしょになんども足をはこびました。そのときに味わった驚きやワクワク感が、少しでも伝わりますと幸いです」とは、作者本人の言。

その言葉の通り、登場人物たちとともに、驚きとワクワク感に満ちた幸福な時間を過ごすことができる、良質な児童文学である。

わかりやすい図説を交えたイラストも、作品にマッチしている。