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イラスト/Mei(めい)


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信越放送SBCラジオにおいて、信州児童文学会編「カンガルーハッチのパンチ」(総和社)の掲載作品が朗読されました。

 

日時 令和1年11月30日(土)午後4時30分~午後4時50分

番組 信越放送SBCラジオ「武田徹の言葉はちから~朗読なかま大集合」

朗読 おはなし玉手箱(長野市立川中島小学校ボランティアグループ)

作品 石原きくよ作「ずいとん坊には まけたぜよ」(朗読 下条美代子さん)

   原田康法作「たんぽぽ いっぱい」(朗読 宮本愛子さん)

たんぽぽいっぱい

ある冬の日曜日。タッくんは、お父さんとお母さんの三人でお買いものに出かけました。

デパートのおもちゃ売場で消防車のミニカーを買ってもらって、それから、みんなでお昼ごはんを食べました。

デパートのいちばん上の階にあるレストランの窓からは、タッくんの住んでいる町がとおくまで見わたせます。

朝はいいお天気だったのに、いつのまにか、雨がふっていました。デパートのふもとにある交差点を、いろんな色のかさが行ったり来たりしています。

「わあ、たんぽぽみたい」

タッくんには、かさをもってあるく人たちのようすが、たんぽぽの綿毛のように見えたのです。

「そうだ、タッくんにあたらしいかさを買ってあげなくっちゃ。こわれていたんだよね」

お母さんが、思いだしたように言いました。今までタッくんがつかっていたかさは、古くなって、もう骨がおれてしまっていました。

お昼ごはんがおわると、タッくんは、黄色いウルトラマンのかさを買ってもらいました。デパートを出る時に開いてみると、やっぱりたんぽぽのようです。お父さんとお母さんも、自分のかさをさして、たんぽぽになりました。

みんなでたんぽぽ、うれしいな。タッくんは、ぴょんぴょんととびはねるようにして歩きました。つめたい雨なんか、へっちゃらです。だって、たんぽぽみたいに、ふんわりと空をとべるような気がするんですもの。

すると、本物のたんぽぽの綿毛がひとつ、タッくんのまえをとおりすぎていきました。

「まあ、早いたんぽぽね」

お母さんが言いました。たんぽぽの綿毛は、白くくもった空にとけこむように消えていきましたが、タッくんたちは、なんとなくあたたかくなったような気がしました。

そっとふきはじめた南風。もうじき、春がやってきます。