きっと、物語はよりそう 偕成社

日本児童文学者協会編、六人の作家によるアンソロジー。

中山先生の作品は、「瀬尾くんと歩く」。

小学五年生の「モッチ」こと、持田真一のクラスに、日帰りの社会見学の話が持ち上がる。

当日は、五人ずつの班を作り集団行動するよう担任の先生から言われて、モッチは、さっそく、となりの席の佳樹たちと班を組むことになるが、そこに「オレも入っていい?」と声をかけてきたのは、足に障害を持つ瀬尾くんだった。

なんとなく、困ったような雰囲気になるモッチたち。

いよいよ、社外見学の日がやってきたが、人なみに歩けないくせに、メモばかり取っている記録係の瀬尾くんは、なかなか、みんなのスピードに追いつけない。

そんな瀬尾くんにイラつき、また、瀬尾くんを振り返ろうともしない佳樹たちにも腹を立てるモッチだったが。

母親の手術という心配事を、ひとりで胸に抱えながら、モヤモヤした気持ちを整理できずにいるモッチに、瀬尾くんが、さり気ないやさしさで寄り添います。

精一杯の勇気をかくしてがんばる瀬尾くんの姿が、心を温めてくれるさわやかな短編ストーリー。