みずがめ座流星群の夏

著者:杉本りえ 絵:佐竹美保(ポプラ社) 

二人の少女が織り成すさわやかな物語。

小学六年生の中沢花には、ちょっと不思議な力がある。

それは、死んだおじいちゃんと自由に会話ができること。

両親は、花が小さかったころに離婚していて、同居の母は、新しい男性との結婚にふみきろうとしている。

一方、同じく小学六年生の柳田莉子には、闘病中の兄がいる。

兄の症状は重く、莉子の両親は、兄にかかりっきり。

莉子は、兄をさしおいて自分だけが楽しいと思っていると、サタンが兄を連れて行ってしまうのではないかとびくびくしている。

そんな家庭の事情を抱えた2人が、塾の夏合宿を抜け出して、みずがめ座流星群を見に行こうと計画します。

ライトノベルで人気の著者が、少女のみずみずしい感性を丹念に描き出し、時に軽妙に、時に心に染み渡るように、彼女たちの成長の過程を見事に表現しています。

花が幽霊のおじいちゃんと話すことにどんな意味があるのかが、しだいにわかってくるラストに、作者の主人公たちへの深い愛情が感じられます。

小学校中学年から高学年向き。