まっしょうめん!胴を打つ勇気 偕成社

大好評のサムライガールシリーズの第三弾。

小学六年生の林成美は、相変わらず、三人の個性的なチームメイト(北島茜、石田太一、塚原浩次郎)と、弱いながらも剣道の稽古に打ちこむ日々を送っていた。

ある日、茜が、知らない男の人と歩いている成美のママを、M駅で目撃してしまったことから物語は始まる。

わたしのママにかぎって、そんなことあるはずないと思う成美だったが、気持ちは落ちこむばかり。

結局、茜のかんちがいだったことが後にわかるが、ママがM駅にいたのは事実で、会っていた相手は、なんと、成美の親友で、ある事件をきっかけに転校していった柏木レオナのママだった。

成美と同様、今では、錬心館というところで剣道の稽古をしているレオナだったが、その態度は、いつも反抗的で、まるで真剣さが見られない。

そんなレオナが、ひょんなことから、成美たちのいる瑞法寺剣道クラブのメンバーに加わり、次の大会でいっしょに戦うことになった。

一方、成美の方は、どんなに練習しても、うまく胴を打つことができずに悩んでいた。

「頭からつっこむんじゃない。正面から飛びこむんだ!」

監督から、そう喝を入れられる毎日だったが、もともと、動きが遅いこともあって、相手の正面に入りこむスペースを見つけることができない。

そうこうしているうちに大会当日は訪れ、レオナとも心を通わせられないまま、まさかの副将として試合にのぞむ成美だったが・・・。

著者は、この小説を書くために、実際に剣道をはじめたとのことで、その分、剣道にまつわる部分の表現が、前作よりもさらに専門的になっている。

戦いの描写にも迫力があるが、何よりも優れているのは、成美たちの生きる姿勢が剣道の奥義と結びついていること。

試合の勝ち負けだけでは語れない剣道のすばらしさが、悩んだり、怒ったり、笑ったり、目まぐるしく変化する登場人物たちの心の動きと重なって、怒涛のラストまで突き進む。

弱い弱いと嘆きながら、いつの間にか、少しずつ強くなっている主人公の成美。

剣道に興味がある人も、そうでない人も、主人公と一体になって、その醍醐味を味わえる、十年一剣の剣道小説である。

小学校中学年以上向き。