科学でナゾとき!公園ゴールドラッシュ事件 偕成社

大好評、「科学でナゾとき!」シリーズの最新刊!

副題にもある通り、今回は、四つの事件のうち二つが金にまつわるお話。

小学校の学区の外れにある「せせらぎ公園」の小川で水遊びをする低学年の子供たち。

小川と言っても、雨が降って水量が増えた時は、流れも速くなり危険を伴うことから、これをいさめるべく現場に向かった主人公の彰吾と体育委員長の片山翼だったが、どうも、水遊びをしているのとは違っていることに気がついて・・・。「公園ゴールドラッシュ事件」。

彰吾の母が講師を務めているカルチャースクールで、講義に使う金箔がほんの少しだけなくなった謎を解く「三枚の金箔事件」。

この二つの「金」をキーワードにした事件の他に、「占いとおまじない」をキーワードにした事件が二つ。

児童会室でコスモスの花びらをちぎっては「スキ・・・キライ・・・」を繰り返す四年生の夢香の心の謎に迫る「コスモス花占い事件」。

ある日、突如として校庭に現れた巨大な「M」のマークは、一体、だれが何の目的で書いたものだろうか?

彰吾の周辺で次々と現れる奇妙なMマーク。

そのMマークの謎を追っていくと、あるSNSの存在にたどり着いて。「Mのひみつ事件」。

クールで頭脳明晰を自負するスーパーナルシスト彰吾の抜群の推理力がさえわたる!とは、今回もならず、何かにつけて科学談議に結び付けたがる父で理科の特別講師のキリン先生の助けを借りて、彰吾たちは、事件の真相に迫っていく。

シリーズ五冊目となり、謎と科学の不思議に満ちた面白さ満点の本作。

科学的考察のグレードが一段とアップして、事件の謎をより解きにくくしている。

うぬぼれの強さは相変わらずなものの、彰吾の言動や行動にも少しずつ成長している様がうかがえ、シリーズ五作目という感慨を覚えさせられる。

これまでと同じく、事件解決後のちょっと考えさせられる結末に、この作品の真の魅力が詰まっている。