パーフェクトな児童会長、彰吾と仲間たちが織り成す、科学ミステリーの最新刊。
今回は、夏休みの自由研究に特化した特集号。
彰吾、夏鈴、春奈、おなじみの児童会メンバー三人に、彰吾の親友、和也が加わり、どこか間の抜けた軽妙なやり取りが、ユーモラスにストーリーを進めていく。
黄金を口から吐く蛇の伝説がある神社でおこった、謎の光と奇妙な音の謎を解く、彰吾と和也の「黄金のヘビ事件」。
家族キャンプを満喫する夏鈴たちに降りかかった、ちょっと痛そうな「クワガタ脱走事件」。
絵を描くのが上手な春奈に、近ごろ妙に優しい兄。と、思っていたら、そこには、ある陰謀が。「夏の花スケッチ事件」。
「黄金のヘビ事件」をいっしょに解決した和也が、ある朝、突然、お父さんにあいさつしたいと彰吾の家にやってくる「お父さんにごあいさつ事件」。
特に「お父さんにごあいさつ事件」は、キリン先生が自分の父親だと知られたくない彰吾にとっては、毎度のことではあるが、ピンチの連続である。
学校へやってきた最初の始業式で、キリン先生が階段につまずいたりしなければ。
その時、前を歩いていた先生方を派手になぎ倒したりしなければ、こんなことにはならなかった。
科学的知識だけは一流だが、それ以外は、てんでダメなキリン先生に対する彰吾の悩みは深い。
それなのに、執拗に父親とのあいさつを迫る和也に、彰吾は、ハラハラさせられっ放しなのだが、和也の行動には、思いがけない理由があって・・・。
夏休みらしい、それぞれの子供たちの暑い日々が、軽快な文章でさわやかにつづられていく。
もちろん、丁寧に調べ上げられた科学的知識は、今回も健在で、作中で語られる実験は、どれも、実演可能。
そうした点だけを取っても、このシリーズには、読者をワクワクさせる魅力がある。
夏休みの読書感想文にも、最適の本書。
もしかしたら、自由研究と読書感想文の両方を、この一冊で一挙両得とばかりに片づけてしまおうとする子供たちもいるかも?