著者:小手鞠るい 絵:丹地陽子(金の星社)
主人公は、小学六年生の花森みずき。
同じ出版社に勤めているお父さんとお母さんは、みずきと中学2年生のお兄ちゃんを大切に育ててきた。
ふたりはいつも、なかよくいっしょに朝ごはんをつくる。
朝ごはんは、「共同制作」と名づけられている。
おやつを買っておくのは、お父さんの役目。
「大恋愛だった」というお父さんとお母さんの子どもに生まれて、みずきは、幸せな毎日を送っていた。
つい、四ヶ月前までは・・・。
その日、授業を受けていたみずきのもとへ、会社で倒れたお父さんが、そのまま亡くなったという知らせが入る。
あまりにも信じがたい過酷な現実に、みずきは、泣くことすらできない。
そして、彼女の時計は、その時を境に止まってしまった。
心を閉ざし学校へも行けなくなってしまったみずきを、お母さんは、アメリカで暮らしているお姉さん、マヤさんのもとへ預けます。
言葉さえ伝わらない異国の地。
悲しみの「うずまき」を思い出すひまもないくらい、英語の勉強にはげんだみずきを、ある日、マヤさんは「森の小学校」へとつれていきます。
そこでみずきが目にした、思いがけない光景とは・・・。
大切な父親を亡くした少女の心の傷が、いかに深いものか。
同じような境遇にある子どもたちが、この世界にはたくさんいます。
そんな子どもたち、そして、そんな友だちがいる子どもたち、みんなに読んでほしい秀作です。
また、親のいない子どもがどんな気もちで生きているのか、現代の大人にも知っていただきたい必読の書です。