かみさまにあいたい

著者:当原珠樹 絵:酒井以(ポプラ社)

小学三年生の雄一は、おばあちゃんの墓参りのために出かけた丘の上の墓地でクラスメイトの竜也と出会う。

学校で何かと問題行動をおこす竜也だったが、なぜか、雄一のおばあちゃんの墓の前では、おとなしく手を合わせる。

ある日、学校から抜け出した竜也を近くの河川敷で発見した雄一は、竜也が、そこで神さまと交信しようとしていることを知る。

「おまえも、神さま、いるって思うのか?」と問い詰めてくる竜也に、「うん。いると思うよ。おれ」と答える雄一。

それぞれ、状況は異なっていても、二人には、神さまに会いたいと願う理由があった。

やがて、神さまと交信するために、竜也のかくれ家に向かった二人は、そこで、人間の頭がい骨を発見してしまい、大変なことに・・・。

心に傷を負った少年たちが、神さまに会おうと奮闘していく中で、少しずつ前を向いて歩きはじめる友情と成長の物語。

足を骨折して入院することになった雄一と、毎日のようにお見舞いにやってくる竜也の二人を、担当医となったナンシー先生が、温かく見守ります。

先生が子供時代を過ごした家で、念願だった神さまに読んでもらうための横断幕を、空に向けてかかげた雄一と達也。

ちょっと休憩しようと、ナンシー先生がおぼんに乗せて持ってきたものを見て、竜也は、少なからず驚くことになるのですが・・・。

竜也が見たという神さまが本当はだれだったのか、明確に語られることはないものの、すれ違いを続ける家族の真の愛情が、少年たちを通して、やさしく読者をひとつの答えにいざなってくれます。

第65回青少年読書感想文コンクール小学校中学年の部課題図書。