ABC! 曙第二中学校放送部

著者:市川朔久子 絵:加藤健介(講談社)

中学3年に進級したばかりの本庄みさとは、同じ学年で機材オタクの古場和人と、たった2人しかいない放送部に所属している。

半年前まではバスケ部員だったみさとが、退部届けを出して廃部寸前の放送部に鞍替えしたのには、ちょっとしたわけがあった。

上級生と下級生の板ばさみにあうというバスケ部での理不尽な人間関係に、ほとほと疲れてしまったのだ。

正直、この先やってくる受験対策として、内申書に悪く書かれないためだけに入った放送部。

校内放送でのアナウンスを任されたものの、気乗りはしない。

そんな時、みさとのクラスに見たこともないほどの超絶美少女、真野葉月が転校してくる。

周囲の羨望を一身に集める葉月だったが、彼女自身は、だれかと行動を共にするということをまるでしようとしない。

そして、この得体の知れない少女には、その端正な容姿からは想像もできないような別の側面があった!!

みさとがほのかな思いを寄せる野球部員の新納基や、新入部員の小島珠子。

隣の家の犬とそっくりな、放送部顧問の須貝先生など、個性的なメンバーがみさとのまわりに集まり、物語は、彼女が想像もしていなかった放送コンクール出場へと突き進んでいく。

圧倒的な存在感を見せつける葉月だが、主人公は、あくまでもみさと。

何をするにもおっかなびっくりのみさとが、少しずつ歩みを進め周囲に一体感をもたらせていく様は、けっして押しつけがましくなく、読んでいてすがすがしい。

同時に、何かと放送部の邪魔をしてくる生活指導教員の、いかにも大人びた言動の裏に隠された幼児性の描き方も、的確に現代社会の大人たちのひずみを表現している。

第62回青少年読書感想文全国コンクール課題図書。

ミュンヘン国際児童図書館推薦児童図書目録選定図書。

全国学校図書館協議会選定図書。

中学生以上向き。