今日は、楽しみにしていたピクニックの日です。黄鬼くんは、赤鬼くんと青鬼くん、桃ちゃんとカミナリくん、それにもうひとり、金太郎の金ちゃんと近くの山へ登りました。
山のてっぺんに着くと、遠い海が見わたせてとってもきれい。ところが、そのときです。
「あっ、クマが出た!」
黄鬼くんのさけび声に、みんな、びっくりして木によじ登りました。下を見ると、二匹のクマの親子が、黄鬼くんたちのおべんとうやおかしの残りをあさっています。
「どうしよう?あんたたち、鬼なんだから、クマを追いはらってよ」
あいかわらず、桃ちゃんは、黄鬼くんたちにムチャなことを言います。
「そうだ、金ちゃんならクマに勝てるだろ?だって、金太郎なんだから」
赤鬼くんが、そういって桃ちゃんをかわすと、金ちゃんは、ブンブンと首をふりました。
「それは、物語の中の話だよ。本物のクマに勝てるはずないじゃないか」
「じゃあ、カミナリくんに頼もう。クマにカミナリをぶつけてやるんだ」
今度は、青鬼くんがいいました。
「だめだよ。そんなことしたら、クマが死んじゃうよ。かわいそうだよ」とカミナリくん。
すると、桃ちゃんが「しかたないわね!」と言って、腰のキビだんごを全部クマの親子に投げてあげました。クマの親子は大喜び。キビだんごをおいしそうに平らげると、どこかへ行ってしまいました。
さすがは、桃ちゃんです。キビだんごでクマまで家来にしてしまうなんて。
「きっと、おなかがすいてたんだね。山が少なくなって、食べ物がたりないんだよ」
黄鬼くんがそういうと、みんな、うんうんとうなずきました。
そうですね。これからは、クマの親子が食べるものにこまらないように、もっと自然を残してあげなければいけませんね。