サムライガール成美の小学生時代も、終わりを迎えようとしていた。
この春、成美は中学生になる。
成美と同級生の茜、太一、高木くんこと翔の三人も進学し、瑞法寺剣道クラブに残るのは、一学年下の浩次郎のみ。
それが理由かどうか、このところ浩次郎の様子が、どこかおかしい。
そんなある日、成美のもとへ衝撃的なニュースが舞い込んでくる。
仕事でメキシコに赴任しているパパの住む町で、爆発さわぎがあったというのだ。
「パパは?パパは、だいじょうぶなんだよね?」
不安を募らせる成美だったが、パパが無事だという知らせは入ってこない。
結局、翌朝になってパパの生存は確認されるが、このことは、成美に今ある幸せがいつ崩れるかもしれないという不安を抱かせる。
同じ日、成美は瑞法寺の墓地へと通ずる砂利道で、喪服姿の浩次郎とその両親に出会う。
成美は、茜から聞いた話を思い出す。
浩次郎には亡くなったお兄さんがいたということ。
弟同様、剣道を習っていた長男を失って以来、浩次郎の両親は、瑞法寺剣道クラブに顔を出さなくなってしまった。
瑞法寺剣道クラブのメンバー五人が一緒に試合に出られるのは、目前に迫った春の大会が最初で最後。
「前、前!」と自分に言い聞かせながら、チームのお荷物になりたくない一心で、できるだけのことをしようとする成美だったが・・・。
柏木レオナや柳田くるみなど、成美がこれまでに出会ってきたライバルたちが、総出演で小学生最後の大会を盛り上げる。
残心。
打った後も油断しないで相手の反撃に備えるという剣道の心得を、剣の達人、五条先生は、お茶の注がれた茶碗をさかさまにして説明する。
最後に茶碗に残ったひとしずくが残心だよと。
瑞法寺剣道クラブにひとり残る浩次郎の心も、この最後のしずくのようなものだろうか?
けっして剣道が強いとは言えない成美。
困ったことがあると、へらっと愛想笑いをして、ごまかしてしまう成美。
そんなへっぽこサムライガールが、残心を胸に秘めて強敵たちに挑む姿に、主人公の心の成長を感じさせるシリーズ完結編。
最後に瑞法寺剣道クラブを継いでくれるかもしれない小さな子供たちが登場することで、心地よい余韻が残る。