小学四年生の丈一郎は、二年生のころからブレイキンにはまっていて、Bボーイ・ジョーと呼ばれている。
ブレイキンをやっている人は、男の子ならBボーイ、女の子ならBガールと呼ぶことになっているから、これが当たり前なのだが、ブレイキンなんて不良がやるものだと思い込んでいるパパには、この呼び名は秘密にしている。
物語は、そんなジョーが、ママと引越し先の新しいブレイキン講座の体験レッスンを受けるところから始まる。
そのブレイキン講座で同級生のケイトと知り合ったジョーは、互いにライバル心を燃やしながらも、市営体育館横の広場で、一緒に秘密の練習をすることになる。
それぞれの技を教え合いながら仲良くなっていく二人だったが、ある日、リズと名乗る見知らぬ外国人の女の子が、練習場所で踊っていて・・・。
オリンピックでも注目されるようになったブレイキンを通して、少年少女、そして彼らを取り巻く大人たちとの心の交流をさわやかに描き出した、「ダンスでつながるぼくら」の物語。
もともとは、ギャング同士の抗争を平和的に解決しようと始められたブレイキン。
そんなブレイキンに情熱を燃やしている人たちは、年齢も性別も様々で、国境や民族も超越している。
この物語は、ちょっとした文化の違いや歴史的な差別など、社会的なテーマを根底に置きながら、ブレイキンの魅力を余すところなく描き出すことで、立場の違う子供たちの心の成長を優しく丁寧につづった良質の児童文学である。
温かみのある表紙絵や挿絵も、作品世界に彩を添え、手に取りやすい一冊となっている。
小学校中学年以上向き。